Bostの工具を輸入してみました。 (メーカーロゴをクリックでリンク) 2009/04/05UP!
Bostは1891年創業の老舗。実は,隠れた一流メーカーで,ヨーロッパでナンバーワンのドライバーメーカーであり,ナンバー2のプライヤーメーカーなのだ。会社名はBost Garnache Industriesといい,Garnache(1890年創業)が元々のドライバーメーカーで,その後ファコムに吸収され,同じくファコム傘下のプライヤーメーカーであるBostと合併して現在に至る。各有名ブランドにフランス製のドライバーがあったらほぼ間違いなくここの製品だろう。代表的なところでFACOMは勿論,KTCS・KPASTORINOなどがここの製品だ。一時期,アメリカのクラフツマンに供給していたこともある。


今回輸入したBostの工具

コンビネーションレンチ5本(8,10,12,13,14)と13mmのオフセットソケットレンチ。ドライバー2本(PZ2とPH2)とスパナセット。本当はプライヤー類も輸入したかったのだが残念ながら在庫切れだった。次回は是非輸入してみようかと思う。




ディンプル加工
これがBostのデザイン・アイデンティティーということなのだろう。殆どの工具にディンプル加工が施されている。



クッショングリップ
下はOEMのKTCだが,当然?同形状。色の組み合わせ以外は全く同じ。ディンプル加工のクッションゴムグリップだ。このドライバーの輸入価格は\620だった。そう考えると,ボルスター付きのKTCが実売\1000程度というのはフランス製なのに意外と?良心的な価格設定ではないだろうか?



プラスチックグリップ
こちらは廉価版のドライバー。いかにもプラスチック然とした感触。こちらも下側写真のように側面はディンプル加工。この色合い,「これがBetaの新製品だよ。」と言ったら殆どの人が信じてしまうかも(笑。
こちらの輸入価格は\470。



コンビネーションレンチ

セットではなく,よく使うサイズ5本をゲット。ノッペリした感じで,デザイン的には面白味はない。しかし,丸みのある断面は意外と手に馴染む感じだ。輸入価格は5本合計で\2,730だった。



パッケージに載っていた旧型のレンチ

FACOM製品にも言えるが,昔の製品にはFRANCEの刻印があるが現行品は無くなっている。これは「made in EU」だからなのか,東欧やアジア等どこかのOEMに変わったからなのか…?



しかし,貼ってあったバーコードは30始まり。
とりあえずフランスでパッケージして輸出されているのは間違いない。ちなみに,シールの横にちょこっと見えるHの刻印は製造年を示すイヤーコード。親会社ファコムは勿論,ドイツのスタビレーやアメリカのクラフツマンなどにも刻印されているのだが,各国各社統一されているのか不明で,アルファベットが何年を示しているのかも未確認。しかしながら一昨年買ったクラフツマンのレンチもG刻印やF刻印だったから,統一されていると考えていいと思う。おそらく,H(2008年),G(2007年),F(2006年)だろう。あくまで推測であるが…。これは今後の調査課題というところか。スナップオンみたいに対比表は無いのだろうか?(今回買った五本のうち一本だけが1年古い?G刻印だった。)

レンチ部分はこんな感じ



リング側
面接触で仕上げは綺麗。ザグリは意外と深い。面接触ドライブの名称は特に付けて無いようだ。ドライバーとプライヤー類メーカーのBostにとってレンチ類はオマケの商品でしかなく,OEM製品?なのかも。



オープン側

エッジは外側は角張ってなくて綺麗に処理されているが開口部はちょっと角張っている。梨地の感じはファコムよりハゼットやBetaに似ている。口先部分には面取り加工がある。



ダブルオープンエンドレンチ(ISO 10102,DIN 3110規格)
ただのスパナである。ISO規格形なので特にこれといった特徴は無い。グリップのデザインはコンビネーションレンチと全く同じだ。こちらは輸入価格がセットで\2,430。



ISO 10102,DIN 3110規格スパナ各種
一番上が今回買ったBostで,順にACESA(スペイン),HAZET(ドイツ),DOWIDAT(ドイツ:当時はBELZER傘下。現在はGEDOREに吸収された)のスパナだが,日本におけるJISスパナのような位置づけなので,ご覧の通り各社とも殆ど差は無い。(注:ISOやDINはJISと規格内容が違います。)



オープン部
形状的にはコンビネーションレンチとまったく同じ。ただし,こちらの方が薄く作られている。



厚さの比較
向かって左がコンビネーションレンチのオープン側(厚さ実測5.8mm)。右がダブルオープンエンドレンチ(厚さ実測5mm)だ。これは,13mmでの比較。



ISO,DIN規格スパナ各種での比較
ISO(=DIN)規格品ゆえ,厚さの方も国や製造時期が違っても殆ど同じ。向かって左からBost,ACESA,HAZET,DOWIDAT。


オフセットボックスレンチ
下側は15年以上前のファコムなのであまり参考にならないかもしれないが一応?,親会社ということで比較として並べてみた。写真ではあまりよく分からないがBostの方が切削痕などが残り,仕上げは雑だ。これの輸入価格は\970。



仕上げはこんな感じ
勿論,下側がBost。このようにバイト目が残る荒削りな仕上げだ。やはり,ファコムの仕上げの良さはさすがという感じ。思わず,以前比較したスナップオンとウィリアムズのSq部の違いを思い出してしまった。しかし,現在のファコムはスタンレー傘下。仕上げの感じは変わっているかもしれない。



ボックス部:短首側
Bost(左)の方は12ポイント。勿論,面接触だが,ご覧の通りあまり綺麗な仕上げではない。ザグリは無い。



ボックス部:エンド側
これもまた仕上げの差は一目瞭然。ファコム(右)が双方とも6ポイントなのに対し,Bost(左)の方はエンド側のみを6ポイントにしている。こちらもザグリはゼロ。

で,握り物を輸入してみた。(2009/07/05add)



パッケージはこんな感じ。(左が表側で右が裏側)
これはPRIMOという廉価版のシリーズだ。廉価版なので,ごく普通の産業用工具といった風情。まぁ,輸入価格がセットで\5,560だからこんなもんだろう。次回は上級なコンフォートグリップの方を輸入してみるか…。



セット内容はこのとおり。
マルチグリッププライヤー(ウォーターポンププライヤー),ダイアゴナルカッティングプライヤー(ニッパー),ユニバーサルプライヤー(ペンチ)の3本セット。工具の名称はボストの表記で,カッコ内が日本での一般的な名称だ。



グリップはこんな感じ
オレンジ色のビニールグリップ。カッティングとユニバーサルの2本のプライヤーはやたら角張っている。俺の所有しているプライヤー類の中でも突出した角張具合(笑。さすがにマルチグリッププライヤーの方は,力を掛けるせいなのか?もう少し丸く仕上げられている。色は,これもまた遠目にはBetaっぽい。



Franceの表示
しかし,表示されているのはマルチグリッププライヤーのみ。その他の製品には表示はない。ってことは…???ちなみに,裏側には3製品ともH刻印があり2008年製と思われる。



開口部はこんな感じ
角張っていて面取り加工はされていないが,表面処理は意外と綺麗な梨地仕上げ。メッキはされていない。
切削痕が殆ど無いのは,もしかしたら金属粉末射出成形法(MIM)で製作されているから?かもしれない。
カッター部の切れ味は銅線用としては普通のレベル。スパッと切れるタイプではない。

今回は1/4Sqのソケットセットを輸入してみた。
(2009/10/25add)




ケースは黒いプラスチック製
メーカー名などは刻印や浮き文字ではなく印刷である。



セットの内容
ラチェットハンドル,6ポイントソケット3.2mm〜14mm(14個),100mmエクステンションバー,ドライバーハンドル。これで輸入価格は日本円で5814円。安い!!。Bostが自社ブランドで発売する工具は実は家庭向けなのかもしれない。FACOMがプロユースでBostはホームユースという棲み分けか…。



ケースだけは堂々の?MADE IN FRANCE 印字(笑。
ペリカンほどではないにしろ,ヘビーなプラスチックトランクでそこそこ有名な?PLASTICASE社製。ただし,有名なのはカナダ製の方であるが。



エクステンションバーとハンドル類
ラチェットハンドルはBostと同じくFACOM傘下であるUSAGの237Aというハンドルとデザインこそ違うが同一設計っぽい。もしかすると工場も同じかもしれない。これらの製品にFRANCEの文字は無いが,唯一,ドライバーハンドルにだけFRANCEの印字がある。ということは,ドライバーハンドルだけが自社製品なのか???それが証拠に?梨地仕上げの中にあって,何故かドライバーハンドルだけがフルポリッシュ仕上げなのだ。



ソケットはこんな感じ
これぞ梨地仕上げ。まるでメタリコン(亜鉛溶射)仕上げのような感じだ。これにもFRANCE の刻印は無い。ボルトに対する攻撃性はコチラを参照。



過去にクラフツマンにOEM供給されていたBost製品
精密ドライバーはBostのEXPERT-PCというシリーズそのもの。ただし,あまりクオリティが高い製品とは言えない。



クラフツマンなのにFRANCE
握り物はBostブランドの原点か。しかし,これだけOEM供給範囲が広いと,昔のバーコやリンドストロームなども握り物はフランス製が多かったのだが,もしかしたらBostが…?と勘ぐりたくもなる。
スパナの比較に出て来るDOWIDATというメーカーについてちょっこっと追記。


DOWIDAT(ドヴィダット)について
(Bostとは関係ないですが…)
工具関係のブログや「工□の本」等に,敢えて嘘が書いてあるとは言わないが時々誤解を招く事が書かれている例があるので追記。ドイツのGEDORE(ゲドレ-)というメーカーは,カール,ヴィリー,オットーのDOWIDAT三兄弟が1919年設立した会社。時は過ぎ1933年,カールが亡くなった時,残されたヴィリーとオットーが決別。オットーがGEDOREを継ぎ,ヴィリーがDOWIDATというメーカーを新たに立ち上げる。その後,DOWIDATは発展し,1962年頃にはインド工場(現在のEverest Tools ) などを設立するまで大きくなったがそれも終息。1974年にはインド工場も手放し,1970年代後半,DOWIDATはBELZERに買収されてBELZERのディフュージョンライン的ブランドに成り下がった…。その時の会社名はBELZER-DOWIDAT GmbH。そのBELZERが1985年サンドビックに吸収される時,GEDOREを継いでいたオットーの孫がDOWIDATを買収。別離した兄弟が時を経て再び出会ったような結末となる。この,GEDOREとDOWIDATの会社統合は,DOWIDAT一族の長年の祈願だったという…。しかし,残念な事にGEDOREからDOWIDATというブランドがリリースされるには至らなかった…!。ということで,「工□の本2009」に書いてある“DOWIDATのレンチはGEDOREのルーツ”という記述は逆。DOWIDATブランドのルーツがGEDOREなのである。

ちなみに,この記事はエイプリルフールの架空ブログ(笑)に掲載した記事です。記事内容はウソじゃないですけど。

画像は某HPより。これは俺の持ち物に非ず。


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