アジャスタブルレンチ(モンキーレンチ)の比較
持っている8インチ(200mm)のモンキーを比べてみました。左からBAHCO#0671,BAHCO#8071,Snap-on#FAD8です。
これは2002年当時の比較なので,現在発売されている機種と仕様が違います。
特に,バーコのアジャスタブルレンチは2008年以降スペインのIRIMO製になっています。
ちなみに,スナップオンのモンキーレンチはFAD8の後継機種からバーコのOEM(スウェーデン製)に変わり,上記のとおり2011年現在,バーコと同じくスペイン製になっています。


これぞ,モンキーレンチという形だ。
当然,0671には目盛りは付いていない。


8071は外側が肉抜きされている。
口の部分の目盛りはBAHCOが元祖。


Snap-on#FAD8は入り口の角が面取りされており,
すんなり入る。このように,目盛りはアッという間に
他メーカーもパクったが,Snap-onだけは片面だけ
インチ表示にして面目躍如といったところか。


開いたところ。Snap-onがダントツで厚い。
また,Snap-onは全開時少しだけ下にアゴが出る。


BAHCOは閉めた時上が出るが,使用に支障はない。
Snap-onは上側が全く出ない。

Snap-onは面接触だがボルトに傷が付くのが難。
しかし,ウォームギアが順ネジでもアゴの出方がこれ
だけなのは流石といった感じ。

     

上側から見たところ。
 BAHCO#8071のグリップは,エルゴデザインとなって太くなり握り 
 
易いのだが,Snap-on#FAD8は,さら太くて握り易い。力を入れても
 手に食い込まないので痛くない。
 
(上) Snap-on#FAD8
  太くなっているのはこちら側(上側)だけ。力のはいるデザイン。
  メッキもSnap-onの名に恥じない上質な鏡面仕上げの物だ。
  他に,FADH8というクッショングリップの機種もあった。


(中)
 BAHCO#8071
  昔の物(下)と比べるとだいぶ太くなり。手に食い込まなくなった。
  断面はIではなくエの形に近く,指が引っ掛かる感じだ。
  現行には,樹脂グリップ付きのエルゴ90というシリーズもあった。


(下) BAHCO#0671
 所謂モンキーレンチの元祖?。この型まで殆どデザインは変わっていない。
 昔のBAHCOはアジャストネジが逆回しで,アゴを出さないためにそうなった?
 (元祖?だから,こちらの方が正転なのかも?)


下側から見たところ。
 この写真でわかるだろうか?Snap-onは,下側の厚みを変えて 
 
薄くしている。BAHCO#8071のグリップは,上下とも同じ厚さだ。
 当然,旧型も同じ厚さ。


(上) Snap-on#FAD8
  ウォームギアを止めているピンは打ち込みタイプ。
  口の部分はダントツで厚いのがよくわかる。



(中) BAHCO#8071
  ウォームギアを止めているピンはマイナスねじ。
  口は他のメーカに比べると薄い方だと思う。
  


(下) BAHCO#0671
   構造は現行と変わらない。口の肉抜きは無い。
   モンキーは,これとCrecent(USA)のデザインが一般的な型だ。




FACOMのモンキーはアゴを簡単に外せる。ウォームギアの後ろ側に空間が
あるが,ギアを後ろに引くとフリーになる仕掛け。一気に開閉出来るのは便利。 
同じ機構のレンチがスペインのEGAにあるので,FACOMはOEMかもしれない。



FACOMのギアはピンではなく,スプリングとボールで止まっている。
だから,ピンの穴は無い。(上側がFACOMのモンキー)




 
 各社のモンキーレンチを並べてみた。

  頭の形の違いが判るだろうか?(全て口全開の状態です。)
 
上から,
  Snap-on #FAD8(8インチ)
  BAHCO #8071(8インチ)
  BAHCO #0671(8インチ)
  ARMSTRONG #28-404(4インチ)
  FACOM #113/6(6インチ)
  BAHCO #8069(4インチ)

 ARMSTRONG は,メーカー名の刻印がスタンプ印字なので,
 CrescentあたりのOEMだろうと思われる。

 ちなみに,BAHCOの最新機種は外見が同じでも2007年から順次スペイン製に変わりつつある。Snap-onもBAHCOが
 傘下メーカーになってから順次スウェーデン製に変わったが,これからはスペイン製に変わるのかもしれない。
 蛇足だが,バーコが元祖の逆ネジのスタイルはSCANDINAVIAN TYPEと呼ぶらしい。(スペイン製EGAのカタログより)
 しかし,この先スペインに有力メーカーが集中すると,逆ネジスタイルをSPANISH TYPEと呼ぶ日がそう遠くないかも???


 リンク先はメーカーのページです。
 

モンキー専門。スペインのIREGA
あと,スペインには有名各社にOEM供給しているIREGAというモンキー専門メーカーがある。ちなみに,IREGAには77と92,99のシリーズがあり,92と99のレンチはガタが少なくアゴも出ない。


これは,廉価版の77。こちらは普通のモンキーという感じ。順ネジでアゴは出るし開口部の目盛も無い。ガタも少しあって,国産のモンキー並みといったところだ。メーカー名が刻印なので他メーカーにOEM供給してそうな感じ。ホームセンターなどでよく見かけるのはこちらの方で,それがIREGA製モンキーの評価を上げられない原因なのかもしれない。



これはSIGNET:996-250だが,IREGA99シリーズのOEM品。77シリーズとは違い,開口部に目盛りも付いているし逆ネジ機構でアゴも出ない。BAHCOと肩を並べる出来はIREGA製モンキーの真骨頂?というべきか。しかし,BAHCOの偽物という訳ではなくても,模倣品?といった感は否めない。

ちなみに,現在のSIGNETのモンキーははOEM元が替わったようでこのモデルは絶版だ。おそらく,安いチャイナ製あたりにシフトしたのかもしれない。このようなファブレス企業はいとも簡単に安い供給元にシフトするので古い評価は全くアテにならないので注意したいものである。



その他, IREGAのOEM先の例(USAGはDLしたカタログより抜粋)
USAG(ITALY) HAZET(GERMANY) CHANNELLOCK
(USA)


参考リンク
(工具の正しい使い方も再認識しましょう)

  正しいモンキーレンチの使い方(岡野機器)

  正しいモンキーレンチの使い方(KTC)

  

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