国外不出の工具たち???(その6:J.H.Williams編) [2008/1/14up]
アメリカから国外販売不可?の工具を「ヤバイ方法」(ウソ)で個人輸入してみました。

 J.H.Williamsの工具 (メーカーロゴをクリックでリンク)
「国内不出の工具たち???」の一連ページで製造元として度々出てくるJ..H.Williams。いよいよ?その本家本元のご紹介。SUPER PALMSTERのページでも少し書いたのだが,J..H.Williamsは今でこそSnap-on傘下の下請的メーカーに成り下がっているが,実はSnap-onよりも遙かに古い1884年創業の老舗ブランド。そして,現行機種はSnap-onと同じ工場で生産される物が多数。同パテントの物や共通部品の物もあり,Snap-onと姉妹商品的な物も多い。だから当然?インダストリアルツールとしては高めの価格設定で,時には「ハイエンドインダストリアルツール」と称される事もある。販路が違うとはいえWilliamsはBlue-Pointとは違った意味でのSnap-onのディフュージョンラインと考えてもいいのかもしれない。時計で言えばロレックスとチュードルの関係に近い?かも。しかし,2007年版の最新カタログを見る限り,Made in U.S.A.のアイコンが付いている製品は減少方向で,このブランドもアメリカ製品絶滅危惧種になりつつあるようだ。特に,J.H.ウィリアムズツールグループになった以降には一気に台湾や中国製が増えてしまった!。昔からWilliams製品に憧れを持っていた俺としては本当に残念でならない。


今回輸入したJ.H.ウィリアムズの工具

ラチェットハンドル3/8Sqと1/4Sqをそれぞれ2本,6inモンキーレンチ2本,3/8Sq
12mmソケット2個,1/4Sqビットソケット5本,1/4Sqユニバーサルジョイント1個,
メガネレンチ2本,コンビネーションレンチがショートとロング合わせて27本。
1/4Sqラチェットハンドルとモンキーレンチについては,製造国を確かめるため?
あえてMade in U.S.Aの物とそうでない物を買ってみました。その他,後から届
いたのでここには写っていないが,ドライバーも何本か買ってみました。

ちなみに,今回はWilliams専門店からの購入は一部のみで,その殆どをeBayで落札。



ラチェットドライバー:WRST1

この独特な形状をどこかで見覚えがある人も
多いだろう。Snap-onのSSDMRT1その物。
本家Snap-onも以前は黒ハンドルがあったが,
それをローレット加工無しにするとまさにこれに
なる。さすがに,これだけ同じだと価格も安くなく,
これの価格は$40.55。本家が$48.75だから$8.2が
ブランド料込みローレットの加工代?という事か。
この差額は高いよなぁ(笑。



ミジェット(スタビー)コンビネーションレンチ


ミジェットのアメリカ製は既に絶版なので,eBayにて新品14本セットを$29.99でゲット。
サイズによりイヤーマーク付きとそうでない物がある。上の17mmは付いているが,
下の19mmには付いていない。セットなのにすべて同じ工場製ではないのか?
それとも何か理由があるのだろうか?ちなみに,現行機種はフルポリッシュタイプ
のみとなり,アメリカ製ではなくなっている。新ロゴに変わった物は基本的にアメリカ製
ではないと考えていいだろう。




参考:工具に刻印される新ロゴ(下記30011の物)

レンチ部分はこんな感じ


リング側
「Super Torque」という面接触で仕上げは綺麗。



オープン側

エッジが角張っている。これはメッキ欠けの原因
にもなるので気になるところ。インダストリアル
ツールとしては綺麗な仕上げだ。ちなみに,口先
部分にはちゃんと面取り加工がある。



ロングコンビネーションレンチ
上がeBayでゲットしたセットの物でこれは梨地仕上げ。下側はそれに入っていない
サイズを補完するために正規購入した物。こちらは現行機種で,メッキはピカピカのフル
ポリッシュ。現行も過去もカタログを見る限り,この形状でメトリックサイズの梨地仕上げは
無い。いったい梨地製品は何?一時期だけ生産された物なのだろうか?ちなみに,この
2本の形状はその1でも紹介したBAHCOのコンビネーションレンチとまったく同じである。


リング側
左がフルポリッシュで右が梨地仕上げの物。上記のミジェットタイプと同じく,
「Super Torque」という面接触加工がされている。仕上げはとても綺麗だ。



ロングの物は全品イヤーマーク付き
ピカピカのSnap-onには当然?付くイヤーマーク。
しかし,梨地工具に付くと何となく違和感が…(笑
ちなみに,これは2005年製。



オープン側
上がフルポリッシュで下に半分見えるのが
梨地タイプだが,オープン部だけポリッシュ
加工がされている。「Super Combo」という,
Snap-onの「Flank Drive Plus」から細溝を
除いた形の面接触加工がされている。


(参考画像:スナップオンとの比較)
上:Flank Drive Plus,下:Super Combo
細溝の有無以外は溝の位置が全く同じだ。
細溝以外は全く同じなので両者は同じパテント
で作られていると思われる。Flank Drive Plus
のパテントはUS PAT.5117714のとおり。

しかしながらこうして並べると,いかにWilliams
の仕上げが綺麗だとはいえ,レンチに関しては
やはりSnap-onを超える事はありえないようだ。
ちなみに上のSnap-onは1990年製で,フランク
ドライブプラス採用製品の発売直後に買った物。



メガネレンチ
メトリックのメガネレンチは梨地仕上げの物しかラインナップされていない。両方とも
アメリカ製なのだがイヤーマークの刻印は無い。仕上げは丁寧で好感が持てる工具。
これは正規に購入した物で,上側が8*10で$16.43。下側は12*14で$18.41でした。



リング部
これも「Super Torque」という面接触で
仕上げは綺麗。ザグリはコンビネーション
レンチより少ない感じ。

3/8SQラチェットハンドルはこんな感じ


3/8Sqラチェットハンドル(上:B-2EHLA 下:BB-52A)

これは両方ともUSA製。上が36歯で下が72歯。どちらもスナップオンと同じパテントで
作られるシールドラチェットだ。上がFL936で下がGF872の姉妹品と考えてよさそう。
両製品ともイヤーマークの刻印がある。B2-EHLAは正規販売ルートから$52.35で購入。
BB-52AはeBayにて新品を$17.99で落札。1/4と3/8どちらもメッキや仕上げはとても
綺麗で良い。(BB-52Aはインダストリアルフィニッシュ)

パテントの参考
US PAT.4934220(シールドラチェット)US PAT.5495783(丸形ラチェット)



ラチェットヘッドの形状は瓜二つ?
向かって左側が上下ともWilliamsで,右側は
Snap-onのラチェットなのだが本当にソックリ?
特に,裏蓋については刻印が全く同じ。おそらく
共通部品なのだろう。切り替えレバーも同じで,
これもまた共通部品かもしれない。ちなみに,
このレバーはちゃんとシールド構造になっており,
US PAT.6125722のパテントを持っている。

しかし,これだけ共通部分が多いと,違うのは
デザインだけで中身は同じなのにスナップオンの
ブランド料だけで高いのでは?とさえ思えてくる。
なんせ,1/4SqハンドルM52-EHは$23.00なのに
スナップオンのT936は$55.50もするのだから…!



殆ど同型のグリップ形状(クリックすると別窓で大きい画像になります)
スナップオンのデザインは傘下の格下ブランドに使い回されるという基本法則。
まぁ,良く言えば新旧スナップオンのイイトコ取りってヤツですか。(笑



1/4Sqラチェットハンドル(上:M-52EH 下:30011)
上が従来からの製品(USA製)で,下が新製品。アメリカ製はちゃんとイヤーマークも
刻印されており,中の構造はスナップオンと同じパテントで作られた36歯のシールド
ラチェットでT936の姉妹商品と言える物。上欄の写真でも一目瞭然だが,グリップ
デザインはSnap-onの旧型と殆ど同じ形状だ。

下の新型ラチェットは旧型コバルトと同じグリップデザインが使われているが,旧型
コバルト製品とは設計も別物でギア数は60歯。ちなみに,これのプッシュリリースタイプ
で36歯はブルーポイントからも発売されている。ラベルや刻印が無いので生産国は
特定出来なかったが,おそらく台湾製だろう。構造はバーコの安いラチェットハンドル
とギア機構が同じみたいだ。M52-EHは正規販売ルートから$23.00で購入。30011は
eBayにて新品を$13.00で落札。



明らかに同工場製っぽい???
今回買った30011と,以前から俺が持っている
台湾製のブルーポイントBFCRM13である。
両者はクリップの止め方が同じだ。



両者の構成部品はこんな感じ
ギアをリングで押さえ,そのリングは
スナップリングで止めるという方法で
組み立てられている



しかし,パウルの構造はこんなに違っていた
ブルーポイントの方は左右の回転方向において
パウルが独立するデュアルパウル構造だ。
この技術はスナップオンの最新作である80歯の
ラチェットハンドル(US PAT.7299720)に生かされ
ている。というか,昔からスナップオンはブルー
ポイントに新構造の物を試験的に?導入する事が
多い。そこでさらに改良が加えられ,その後スナップ
オンブランドで完成された物として発売される。
ギアレンチタイプのSOEXRMなどはまさにこの例。
最初の発売はブルーポイントのBOERMシリーズ
だったのだ。



1/4Sqユニバーサルジョイント(右側)
今回輸入したM-140Aの実測高さは37.6mm。
並べて置いた右側の物はスナップオンの
TMU8(1986年製)で33.4mm。1/4Sq凸などは
現在のWilliamsの方が仕上げが綺麗。この
M-140Aにもイヤーマークは付かない。

今回輸入したアジャスタブルレンチ
新製品がどこの国製なのか確かめるために?試しに輸入してみた(笑

6インチを新旧2種類


上側がAP-6A($21.26)こちらはU.S.A.の刻印がある明らかにアメリカ製。昔持っていた
クラフツマンに酷似なので製造元は同じかも。WFという刻印もあるのでクラフツマン
のドライバー製造元でもあるウェスタンフォージ社の製品かもしれない。

下側がAB-6A($17.93)こちらは製品にU.S.A刻印は無い。取り寄せてみるまでは,
もしかしてバーコ製?という淡い期待もあったのだが,こちらの方は世界の製造工場
である2008年のオリンピック開催国製でした(笑。しかし,価格は高いだけあって質は
さほど悪くはない。アジャストのネジが少々引っかかるのが多少気になる程度。



こちらはコンフォートグリップタイプ(6,8,10,12インチ)


このハンドルグリップの感じで「もしかしてバーコ製かも?」という期待はここでも
裏切られた(苦笑。 このタイプも中国製でした。材質や強度は未だ使い込んで
いないので不明だが,メッキなどの仕上げはとても良い。少なくとも「その4」で
紹介したメキシコ製のURREAよりはメッキが良さそうだ。このメッキタイプのレンチは
アジャストのネジの引っ掛かりなどは無くスムーズに動く。



やっぱり?存在したバーコ製。(10インチ) (2008.12.29add)


APシリーズには期待通り?バーコ製がありました!上記の6Aはアメリカ製だが,
この10Aは「SWEDEN」のレーザー刻印。紛れもなく?バーコ製である。バーコの
アジャスタブルレンチ生産はスペインのIRIMOに移っているが,このウィリアムズが
今後スペイン製に換わる事はまず無いだろう。これはeBayにて$28での落札品。




AB-6Aに付いていたラベル。
紛れもない?中国製。
これの裏側には生涯保証の記述もある




AB-6Aの開口部
片側だけにインチの目盛りが付いている。
目盛りはかすれたような感じで鮮明ではない。
このあたりは,やっぱりチャイナクオリティか。




AP-6Aの開口部
こちらは古い設計?ゆえ目盛りは付いていない。




AP-10Aの開口部と旧バーコ
ウィリアムズは現行バーコとは形が違うので,
似ている旧バーコを並べてみた。ABシリーズと
同じく,片側だけにインチ目盛りが付いている。
ウォームギヤに注目!バーコ製なのにギヤは
日本製などと同じで順方向!なのだ。バーコ製
スナップオンも順方向なのでそれの流用かも?。




ドライバーハンドルはこんな感じ
オレンジ色の物は1970〜80年代の4角グリップと色以外は同じ。スタビーと
黒グリップについてはデザイン,材質共に全く同じで刻印が違うだけ。勿論,
手探りではまったく区別がつかない。ここでもスナップオンのデザインは傘下の
格下ブランドに使い回されるという基本法則は守られて…?というか,同じ物の
刻印を変えて販売しているだけのようである。これで価格差があるのだから
高価なスナップオンって一体何?と考えさせられる製品群だ。

(注:オレンジグリップは廉価版製品なのでブレードはスナップオンより
クオリティが低い。黒グリップの方はスナップオンと全く同じ製品。)





さて,どちらがSnap-onでしょう?(笑
とにかく,刻印の無表示側を並べてみるとまったく区別はつかない。




+スタビードライバー(H20.1.27add)
バックオーダーで遅れて届いたSDP-2-ST(下)。もちろん,これもアメリカ製。
先に届いたマイナスドライバーは旧型スナップオンと全く同形状だったが,プラスの方は
違ったデザインで材質も変わっていた。おそらくこれが現行機種なのだろう。旧型の
形状は4角だが新型は6角。窪みは上下に3箇所づつあり,4角より回しやすい。
下の写真でもよく解るが,形は現行スナップオンのスタビードライバーのSHDP22IR
($10.45)とグリップ形状は全く同じだった。違うのは軸先のACR加工と色だけ。
ちなみに,ウィリアムズの価格は$6.77…!この差額$3.68はACRのライセンス料と
ブランド料ってことか…(笑。



両者の先端フィット感検証はコチラ。



3/8Sqソケット
メッキは3価クロムメッキなので黒っぽい。
形状は'80年代のスナップオンを彷彿させる?
仕上がりでとても綺麗。しかし,スナップオン
とは違う工場で作られているようで,イヤー
マークは刻印されていない。ボルトへの攻撃
性についてはソケット検証ページへ。



1/4Sqビットソケット
これもまた仕上げは綺麗。。ちなみに,この
ような小さいソケットにはWilliamsと記入する
スペースが無いようでWmsと刻印されている。

また,こちらにはイヤーマークが付くので,マーク
の有無は刻印するスペースの余裕とは関係が
ないようである。

参考リンク
J.H. Williams Tool Group製品専門店
PROTRADETOOLS


(H21年6月現在リンク切れ。店が消滅???)

注:メールでも再度確認したのですが,
日本に直接発送は不可との事です。

今度はこんなソケットセットを輸入してみた。
[2008/7/13 add]

これは以前ratchkeyというブランドで売られていた製品。現行ではウィリアムズのブランドから販売されているのだが,果たしてこれは同じ製品なのだろうか?確かめるべく輸入してみました。


セット内容
ソケット7個,ビット21個,延長ビットホルダー1個,1/4sqホルダー1個の組合わせ。
ソケットはメトリックなのに,HEXビットはインチサイズという謎の?組み合わせだ。
クオリティはさほど悪くなさそう。とはいえ,インダストリアルツールレベルでの話だが。
ちなみに,購入価格だが,今回はeBayで19.99の落札価格で買えました。



ラチェットはこんな感じ

1/4のビットホルダーが付いているパームラチェット
といった感じだ。ギア数は40歯である。
パテントナンバーが刻印されていて,調べたら
スナップオンが所有するマグネットビットホルダー
のパテントでした。ビットホルダーの構造だけは
親会社スナップオンと同じとういう事か。



箱の裏の片隅にひっそりと?
印刷されていた表示。(笑
もはや,この国抜きでは工具を
語れないご時世なのかもしれない。
ロゴが旧ロゴなのに台湾製という
事は,新ロゴの製品はチャイナ製の
証なのか???



ビット
上側が今回のセットに入っていたビット。
下側は以前から持っているリバースギアラチェット
(台湾製)のセットに入っていた物。メッキが少々
違うが,刻印からしてどう見ても?同じ工場製。
仕上げはけっこう綺麗。



ソケット
ブランド名や生産国の刻印は一切無い。
ウイリアムズ製ではなく,どこかのOEMなのか?
見た目はホームセンターで売られている安物
セットに入ってそうな感じのソケットである。

画像は某HPより。これは俺の持ち物に非ず。


(その5 : CRAFTSMAN編へ戻る)


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過去に紹介したJ.H.Williams製品
SUPER-PALMSTERの紹介ページへ



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