ちょっと変わったラチェットハンドルの紹介。
SUPER-PALMSTER(ロゴをクリックするとウィリアムズの最新PDFカタログが見られます。)
日本では殆ど無名なJ.H.Williams。仕上げは雑だが使えそうな物も多い。軍放出品でも見かけるので頑丈な工具だと思う。これは以前アメリカから通販で買った物。当時$23.5でした。仕上げこそ違うがSnap-onと同様品がこの値段なのに感動?。蛇足だが,アメリカ製BAHCOのレンチ類はJ.H.Williams製で,ラチェットハンドルはBAHCO製モンキーレンチと同じエルゴデザインのカッコイイ物だ。しかし,グループ再編でウィリアムズツールグループとなったため,残念ながらアメリカ製バーコは販売中止になったようである。


WilliamsはSnap-onの系列会社でアメリカ製。
Snap-onでも類似型の物があって(FPALM1)Williams製
だろうと思われたが現在絶版だ。ちなみに,Williamsは
1884年の創業で,Snap-onより遙かに古いメーカーだ。
ちなみに,'07年ののカタログを見るとmade in USA
の表示が消えた
ので最新製品は残念ながら?
アメリカ製ではない?のかもしれない。


    


このように収納されており,手のひらにスッポリ入る。
ちなみに,ギア数は驚異の?82歯である。Williamsは
スタンダードな丸ヘッドのハンドルもすべて82歯を採用
していたのだが,モデルチェンジして80歯になった。しかし,
最近のモデルチェンジで他社と同じく72歯になってしまった。
しかし,このモデルだけは未だに82歯のままのようだ。



こういう感じで広げる。左右の切り替えは親指1本ではちょっと回しづらい。ラチェットの回転は軽いが引っかかる感じだ。



広げるとこんな感じ。手のひらになじんで回しやすいが,高トルクは掛けられない。あくまで早回し専用だ。

工具量販チェーン店の類似品はパチ物か否か???

先日,アストロプロダクツで台湾製らしき類似品を見た。それはもっと角ばっていて手にスッポリ入らない感じだった。あと,藤原産業(SK11)が輸入してホームセンターで売られている Williams PALMSTERはアメリカ製とパッケージに記載があるが,工具自体に刻印は無く,メーカー名も印刷で大きさも一回り小さい。また,ギアの切り替え部もY型で俺のWilliamsとは形が違う。Williamsのカタログにもこのような形の製品は無い…。いったいこれは何???

 と,思ってさらに調べると,アメリカには同じようなRatchkey(リンク先はRatchkeyの別製品)というブランドのPALMSTERという製品が存在する事が判明。現在は検索しても見つからないが,その製品はギアの切り替え部もY型だし,藤原産業の輸入品はどうやらこれみたいだ。だとすれば藤原産業はRatchkeyと表示すべきかも?あと,WilliamsはSUPER PALMSTERで,Ratchkeyの方はPALMSTERだから,両社間に何らかのライセンスの供与があるのだろう。さらに,絶版になったSnap-on FPALM1をカタログで再度良く見たら切り替えがY型だった!!

 後日,アストロに行ったので上記に書いた類似品のパテント番号を見たら,「US PAT.5542322」と書いてあった。早速調べてみると,紛れもなくWilliamsのパテントで,Conpact folding wrenchという名称で登録されていました。結局,台湾製?もRatchkeyもパテント供与によるライセンス生産のようだ。ちなみに,これはフォールディング構造と形のパテントなので,ラチェット部分の歯数や大きさは関係無いようである。一応の確認として,藤原産業輸入品のパテント番号も見てみたら予想どおり?「US PAT.5542322」だった。結局は,両方共Williams製ではないがパチ物ではなかったのだ…。 その後,さらにネットで調べてみると,台湾製の製造元らしき?科宏(KE HUNG)というメーカーを発見!さらに,ホームセンターでは科宏と同形状でクイックリリースの物も売られていた。これもまたライセンスによる台湾の別メーカー生産品のようだ。

蛇足だが,台湾のWilliam Tool(各ショップのカーブラチェットなどの製造元)はJ.H.Williamsとは何も関係が無いので勘違いをしないように。しかしながら,JHウィリアムズツールグループ内の企業であるCDI製トルクレンチに使われるラチェットヘッドの一部製品は台湾製で,このウィリアムツールが供給しているから何ともややこしい。

Snap-on:FPALM1と藤原産業輸入のWilliamsは同じ物なのか???
某工具店でSnap-on:FPALM1のデッドストックを発見!幸いにも?通常価格で,プレミアム品じゃなかったので即購入(笑。その足で帰りがてらホームセンターで藤原産業輸入のWilliams PALMSTERも購入。両者の差額は約4000円!見た目は殆ど変わらないが,果たして両者は同じ物なのだろうか?

下の画像は左から,藤原産業輸入品,Snap-on,SUPER PALMSTERを開いたところ。切替部は前者2つがY型。オリジナルは十字型。


藤原産業輸入品とSnap-onの外観とメッキの感じやプラスチック部はまったく同形状でパテント関係の刻印もまったく同じだった。オリジナルのSUPER PALMSTERは梨地仕上げで,見た目は似てても角に面取りがあったりして明らかに別物だ。



しかし,よく見るとSq部の仕上げはこれだけ違う!
左から藤原産業,Snap-on,SUPER PALMSTERだ。価格の差はこういうところに現れるのだろう。藤原産業品は一般的なレベルで少しだけ切削痕が残るのだが,Snap-onの滑らかな表面仕上げは流石としか言いようがない。オリジナルのSUPER PALMSTERはどうかというと,やはりインダストリアルツール。表面仕上げが殆どなされておらず,削ったそのままという感じだ。このラチェットはバラすのに腕時計の裏蓋を外す工具のような物(もしくは超小型のフックレンチか?)が必要なので今回は中身まで確認してないが,Snap-onは中の仕上げ迄も綺麗な可能性がある?このあたりはバラせた時に確認しようかと考えてます。まぁ,マイナスドライバーで外してもいいのですが,綺麗に外したいもので…(笑。
付け加えると,最近の藤原産業輸入品は切り替え部がY型から本家の?SUPER PALMSTERと同じ十字型に変更になっている。また,藤原産業輸入品の場合,以前はグリップの色が黄色や赤,青などが選べたのだが現在は黒のみになってしまったようだ。

結論!
藤原産業輸入品とSnap-onはまったく同じ物ではない。しかし,同じ工場で同じ型により作られている。
Snap-onブランドを作っていたラインで生産し,仕上げのコストを落とした物が藤原産業輸入品ということだろう。だが,差額\4000分仕上げが悪いかというと,流石にそこまでは違わないし,もしかしたら材質も違うのかもしれないが目視では区別は付けられない。まぁ,\4000のうち1/4位が仕上げの差で,あとはSnap-onのブランド料ってところかな。(笑
あと,これはあくまで推測なのだが,RatchkeyはJ.H.Williamsの関連会社と思われる。

インデックスに戻る


国外不出の工具たち???(その6:J.H.Williams編)へ


inserted by FC2 system